幻の布“アンギン”を使った新しいおみやげを考えています
雪国デザイン研究会は、津南町農と縄文の体験実習館「なじょもん」とアンギンの保存活動をしている「ならんごしの会」の協力で、学芸員・生産者とデザイナーや一般市民が参加したワークショップをしながら、幻の布「アンギン」を使ったおみやげを考えています。
6/18に行われた第1回のワークショップでは、なじょもんの佐藤信之氏によるアンギンについてのレクチャーとグループワークを行いました。
アンギンについて知る
幻の布といわれるアンギンとはそもそも何でしょうか。それを知るためになじょもんの佐藤信之氏よりアンギンの成り立ちについてレクチャーをいただきました。
アンギンとは、カラムシやアカソなどでつくった糸で、もじり編みという技術でつくられた編み物製品を指すそうです。アンギンという名前は、「編み衣」がなまった呼び方ではないかともいわれています。雪国観光圏域で伝承されている越後縮や越後上布もアンギンと同じカラムシやアカソを素材としています。いわば子孫のようなものといえるかもしれません。
このアンギンの編み文様が、縄文時代の土器に残っていたことから、アンギンは縄文のころからあったといわれています。ただ布そのものは腐ってしまうので実物は残らず、幻の布といわれていました。ところが、昭和28年に津南町の結東集落でアンギン袋が発見され、昭和35年には同じ津南町の樽田地区でアンギンの製作技術の伝承者がみつかりました。その後、アンギン編みの技術は記録され、現在では「ならんごしの会」が中心になって、農と縄文の体験実習館「なじょもん」でアンギン製作体験などが行われています。
アンギンを使った新しいおみやげを考える
現在販売されているアンギン製品を手にとって確認しているところです。
現在アンギンを使った製品は、名刺入れやブックカバー、帽子などが販売されています。参加者はそれらの製品を手にとって確認しながら、アイデアをふくらませていきます。アンギンは染めることも可能で、実際に藍染めの製品もみつかっているそうです。技術的には、任意のタテ糸だけに色付きの糸を編み込むこともできるのだそうです。ただし、すべて手づくりなので少量生産です。
4つのグループに分かれてアイデアを出し合っているところです。
どんなものが欲しいか、技術的にできそうかを考えながら自由にアイデアを出し合うブレーンストーミングの後、一通りアイデアが出尽くしたところで、よさそうなアイデアをスケッチに書き起こしていきます。
アイデアスケッチです。
小銭入れやランチョンマット、カメラストラップ、スマホケースなど24のアイデアが出ました。この日のワークショップはこれで終了です。あとは実際に製作が可能かを、ならんごしの会の方々に検討していただきました。
試作品が出来ました
ワークショップの約1ヶ月後、アイデアをもとにならんごしの会で試作品をつくっていただきました。ペットボトルホルダーと筆入れ、ポシェット、ランチョンマット、敷物の5種類です。
写真はペットボトルホルダーです。
筆入れです。筆を入れたあと巻き込んで紐で止めるようになっています。
小物バッグです。タテ糸に藍で染めた糸が使われていてアクセントになっています。肩ひももカラムシでつくっています。
ランチョンマットです。両サイドは切り放しになっています。
器などを置く敷物です。
ここから実際に製品化されるものは出てくるでしょうか。第2回ワークショップではこれら試作品をもとにコストや手間、デザイン性、そしてニーズなどを考慮していきます。
(つづく)
主催 一般社団法人雪国観光圏
企画運営 雪国デザイン研究会
協力 津南町農と縄文の体験実習館「なじょもん」・ならんごしの会
会場 滝沢印刷伊達工場(十日町市伊達甲1027) TEL(025)758-4122