野生を喰らう宿

作成: 日時: 2024年12月20日
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ジビエ料理を楽しみ命を感じる宿

 
 

茅葺き屋根の古民家でいただく豪快なジビエ料理

 十日町市街地から車で20分ほど山間地に飛渡地区三ツ山(みつやま)集落がある。そこで農家民宿を営んでいるのが高橋美佐子さんだ。Uターン後、2016年に「農家民宿茅屋や」をオープンした。「東京で働くうちに、いつしか山の中の古民家に暮らしながら農家民宿を経営することに憧れていたんですね。」
 「茅屋や」には、猟師でもある高橋さんの振舞うジビエ料理を求めてくる人も多い。「山の中の民宿なので、食事はここにあるものを出したいと思っていました。私にとってジビエはキノコや山菜と同じ地元食材なのです。そのため、猟師の免許も取り、地元の猟友会に入会しました」
 ジビエの魅力はどんなところにあるのだろう。「おいしい、ことですね。自然な味がします。家畜の脂身に比べジビエの脂は全然気になりません。」「お肉はお鍋はもちろん、焼肉などにして召し上がっていただきます。肉の味がわかりやすい料理が多いですね。お客様と肉を焼きながら、これはどこの部位だとか、オスとメスの違いとか、獲物の年齢などお話をしながら召し上がっていただきます。」それができるのも自ら狩猟して、自らさばいている賜物だろう。高橋さんは狩猟の苦労がわかるので、解体した部位は100%使用するように心がけている。

肉の味をシンプルに楽しむ

 

囲炉裏もある昔ながらの農家の佇まい

 

ジビエを手に入れるために狩猟免許もとった(写真右が高橋美佐子さん)

 

[十日町市]
農家民宿茅屋や

新潟県十日町市新座乙764 (三ツ山)
025-755-5676
090-4454-1669
https://tokamachi-kayaya.com

 
 


 
 

秋山マタギの宿

  秋山マタギの歴史は古い。秋田県にはマタギの村が多く、クマやカモシカを追って旅マタギとして他国の山に行くことも多かった。19世紀前半、秋山郷へ集団猟をする秋田の旅マタギが入ってくる。自身も秋山マタギである「民宿 出口屋(でぐちや)」のご主人の福原和人(かずひと)さんにクマの毛皮や狩猟の写真が飾られた広間で話を伺った。「秋田マタギの一人が大赤沢に来て、狩猟後も帰らず住み着くことになった。そういう話が伝わっています。私の祖母方は秋田マタギの子孫です。」
 福原さんは自身が獲ったニホンジカやクマなどを陶板焼きや鍋料理として提供しながら、宿泊客に秋山マタギの話をすることも多いそうだ。「大事にしたいのは、命を懸けてクマと向き合ったマタギたちの心意気とその信仰心です。山で獲った動物たちも自分が獲ったのではなく、山の神から授けられたものという思想があります。」自然と暮らし、山と共存してきたここの人たちにとって、山の恵みで十分生活ができるこの地は豊かな場所のように思える。

マタギでもあるご主人の福原和人さん

 

宿には昔の狩猟風景の写真や道具が飾られている

 

(手前より)クマ、イノシシ、シカの骨や角

 

 

[栄村]くまの話とうまい水
民宿 出口屋

長野県下水内郡栄村大字堺18174-2
025-767-2146
http://sakae-akiyamago.com/stay/287/