体験記
編集部でSCTを歩いてみたら。

作成: 日時: 2024年7月9日
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「トレイル」と聞いて「自分にはちょっと無理」と思う人もいるかもしれない。
そこで「雪と旅」編集部が、低山のスノーカントリートレイル(SCT)コースを歩いてみました。

 

 

 出発は西福寺。石川雲蝶の見事な木彫りを向拝に見ることができる。はじめに本日ガイドをしていただく奥只見郷ネイチャーガイドの佐藤敏彦さんの指導で準備体操を行った。このコースは中部北陸自然歩道の「板木跡こぶしの道」を活用したコースであり、草刈りなどもきちんとされていて、最初のうちは順調に進んだ。ガイドの佐藤さんは低山の魅力を「どこからでもアプローチでき、思いたったらすぐ登れること」と語る。

 

 

 尾根伝いに山道を歩く。板木城は長尾景虎(後の上杉謙信)と長尾政景の争いにも登場する中世の山城。標高357mの頂点に本丸を置き尾根を利用して要害を築いている。登るにしたがって急坂になっていく。空堀のあとも数ケ所あり、急な場所はロープさえあり、一行の行手を阻む。

 

 

皆が次第に無口になっていく。
 突然視界が広がり、ようやく板木城跡に着いた。苦労した分、頂上からの見晴らしは素晴らしく、西には魚野川が通る魚沼の田園風景、東には越後三山が間近に見えた。

 

 

このルートはちょうど魚沼市と南魚沼市の市境にあたり、頂上の魚沼市側には板木城の看板、南魚沼市側には雷土城の看板があり、一つの山が二つの名前を持っている。なんとも7市町村を跨ぐSCTらしい。

 

 

 途中、ガイドの佐藤さんに山の歩き方を聞いてみた。「薄着で歩くこと。暑くなったら上着は脱ぎ、休憩にはおればいい。山の天気は急変するので、レインウエアは晴れていても常備すること。こまめに水分補給をし、途中休憩の際はザックを肩から下すと疲れがとれる。小股で、足裏全体で歩くこと」

 

 予定より一時間程かかってしまったため、板木城頂上で昼食を食べることにした。お昼は魚沼市観光協会の方が用意しくくれたおおももさんの「開高めし」の弁当。開高めしは、芥川賞作家の開高健さんが魚沼市銀山平に逗留していた時に、好んで食べた山菜焼き飯。開高めしを作る際には①山菜を3種類入れる(ぜんまいは必ず入れる)②必ず炒める③紅ショウガを添えるという3カ条を守ることとなっています。魚がメインの”ぎんざん”、肉がメインの”おくただみ”の2種類があるそうで、今回は“おくただみ”をいただいた。

 

 

 昼食後は本日の最高地点大力山の山頂(501m)を目指す。尾根伝いのルートはところどころ開けており、越後三山が間近に見える。越後三山とは八海山 ・越後駒ヶ岳・中ノ岳の総称で、三山全域が越後三山只見国定公園に指定されている。その見事な山景を望めることからこのルートは“魚沼のアルプス”とも呼ばれている。「新潟県には2,500分の1の地図上の山が945あるが、魚沼市はそのうち114あり、全国でも5位の多さを誇っています」

 

 

 山歩きで気を付けることは無理をしないこと、環境に配慮しゴミは持ち帰ること、あと「夏から秋にかけては蜂と雷に気をつけて欲しい」とのこと。山頂付近の東屋からは田んぼの真ん中を魚野川や高速道路が貫く様子もよく見える。「山は同じ場所でも、季節や日や時間によってまったく違う景色が見れる。そこが山の魅力かな」 そこからは一気に下って、本日のゴール宝泉寺に着いた。コース上にはSCTのマークも設置されわかりやすかった。多少きつかった分、達成感に包まれ、すがすがしい気分で今回の約23㎞のトレイルを終えた。

 

 

 

参加した皆さん

ネイチャーガイド
佐藤 敏彦さん

 

魚沼市観光課
岩﨑 要さん

 

魚沼市観光協会 雪国観光圏SCTワーキンググループ
関 美和さん

 

魚沼市観光協会 「雪と旅」編集部
滝澤 めぐみさん