ガイドと巡るSCT
スノーカントリートレイルは既存の山道や歩道、昔からある街道を利用してコースが作られている。戦国大名の上杉謙信が関東出兵に使用したと言われる軍道もその一つ。そこを利用してトレッキングルートのガイドツアーを開催している十日町市のHOMEHOME井比 晃さんにガイドと巡る良さを聞いてみた。「私どもの会社では星峠など十日町市松代地区の棚田群を地域の自然、歴史、産業などを話しながら歩く『棚田トレッキング』というツアーを開催しています。里山を巡る『星峠コース』と上杉謙信が整備した軍道を歩く『犬伏コース』の2種類がありますが、『犬伏コース』はまさにスノーカントリートレイルのルート上を歩くコースです」
コース上では参加者の興味に寄り添いながら、上杉謙信の軍道だったことや各地に点在する城跡など歴史や目に触れる動植物など自然について話をすることが多いという。「ブナ林が水を含み、湧き水となり、棚田や山清水となりここでの暮らしにかけがえのない恩恵を与えます。春にはうど、わらび、こしあぶら、みょうが等山菜の宝庫となり、秋は山のキウイとも言われる“さるなし”やきのこも姿を現します」
棚田とは山間地に切り拓いた段々状の田んぼのこと。「棚田は山からの水と雨水を利用した天水田であり、地下水をくみ上げたりするような負荷のかかるような農業ではありません。山からの水は保水力のある天然のダムと言われるブナ林のおかげであり、そのような自然と人との関係や、昔から変わらない里山の情景、歴史などを話すと、みなさん目を輝かせて熱心に耳を傾けてくれます」。またこの地域は昔から織物が有名だが、青苧と呼ばれるカラムシの産地だったことに由来するといった産業についても話をしたりするそうだ。
この道も国道が整備される昭和の始めまでは人々の暮らしの道であった。「冬期間は車も通れないので、病人が出たら村人総出でそりを使って町の病院まで運んだ」という。
ガイドと回るよさは学べること、本人が持つ興味に合わせること、知らなかったことを知るなどです」。最近では海外の人も多いそうだ。一人でまわるのもいいが、たまには地元ガイドとまわるとより深く地域のことを知ることができそうだ。
このツアーは棚田や自然・歴史・環境など伝えるべきことを参加者に伝えている部分が評価されて観光庁の“サステナブルな旅AWARD”を受賞した。また、ツアーの収益の一部を棚田保全のために地域に寄付をしているという。「この素晴らしい景観を守るためにも、今後も様々な体験プログラムを企画していきたいと思います」と静かだが力強く語る井比さんの言葉に深い感銘を受けた。
ガイドしてくれたのは
株式会社 HOME HOME NIIGATA
代表取締役 井比 晃さん
新潟県柏崎市出身。十日町市での地域おこし協力隊として活動後、十日町市に移住。株式会社HOME HOME NIIGATAを設立。地域の生活や文化を観光コンテンツとする、着地型専門の旅行会社を目指す。
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HOME HOME NIIGATA