雪国観光圏と
スノーカントリートレイル
3県7市町村を結ぶ雪国観光圏のシンボル的事業としてスノーカントリートレイル(以下SCT)は事業を継続してきた。現在の姿に至るまでの道程や今後の展望を、SCT実行委員長であり、雪国観光圏SCTワーキンググループの座長でもある久保英弘さんに伺った。
全ルート開通するまではご苦労があったでしょうね。
私がSCT実行委員長を引き継いだ時にはまず林野庁や関係市町村との調整に苦労しました。9年の間、田中さんや仲丸さんと3人で足繁く関係者の元へ足を運び、行政や地域の方々の理解と協力を得て、一気に開通した感じです。
温泉宿のオーナーでもある久保さんから見た、SCTの魅力を教えてください。
7市町村ごとに温泉があり、個性ある温泉旅館のオーナーがいるところが魅力です。1日で307㎞回りきれなくても、一旦郷に戻って温泉に浸かってトレイルで疲れた体を癒して、また山に戻るといったスローライフ的な旅ができるところです。歩く旅なので健康にいいですし。
世界各地にもロングトレイルコースがありますが、SCTの良さってどのようなところに感じますか?
この間もアパラチアントレイルに行ってきましたが、トレイル自体の差はSCTと大差はないと感じました。ただ、案内板や掲示板がしっかりしているところは優れていると思いました。また、地元の住民が健康のために歩いていることに感銘を受けました。それも、Tシャツにスニーカー姿で。SCTも今後は地元の方にも積極的に歩いてもらいたいです。それが自然を守り、維持していくことにつながって行くと思います。
久保さんのおススメのポイントとかありますか?
歩かないとわからないことってありますよね。ここにこんな花が咲いているとか、ここにこんなお店があるとか。車では絶対気づかないようなことが発見できるのも魅力です。どこが良いというよりも、どのコースも魅力的なポイントがあり、ハイカーは歩く度に驚きや発見に出くわすのではないでしょうか?
ハイカーサポートキャンペーンについても教えていただけますか?
開通して10年目になりますが、まだまだ認知度が今一つです。SCTが多くの人の目にとまり、地域の協力も得たいと始めました。多くの人が歩くことで山が守られるという循環を作りたいと思います。そのためにもハイカーサポートキャンペーンにより、ハイカーからの支援で整備し、地域の協力店がそれをサポートするという、歩く人たちが安心して歩ける環境を作っていきたいと考えています。
今後の夢を教えてください。
一人で歩くこともできますが。ぜひ地元のガイドさんと歩いて欲しいですね。本やガイドブックでは知ることのできない地域の話を聞くことができますし、それが地域経済にもつながると考えます。また、SCTを利用した県をまたいだ小中学生の交流会なども開催できたらいいですね。
最後にメッセージをお願いします。
トレイルは登山とハイキングの中間です。SCTにも初心者向けから上級者向けまで様々なコースがあります。いろいろな方々からここに来てもらい、自然や地域の人とふれあってもらいたいと思います。
SCT実行委員長
久保英弘さん
みなかみ町在住。スノーカントリートレイル実行委員長。雪国観光圏スノーカントリートレイルワーキンググループ座長。雪国観光圏理事。「旅館たにがわ」「別邸 仙寿庵」オーナー。