<特集>雪国観光圏の酒蔵〜松乃井酒造フォトレポート
scf2013冬号の本誌でご紹介した松乃井酒造の酒造り。誌面では紹介しきれない“こだわり”が随所ありました。特に温度管理には細やかに気を使っているなあ、と感じましたね。
そこでscf +では、本誌で掲載しきれなかったあれやこれやを、写真とともにご紹介していきます。
蔵に入ってまず目に飛び込んでくるのは立派な和釜。いまはどこも機械化が進んで、こうして釜を使って米を蒸かす蔵も少なくなりましたね。
米が蒸かしあがったら桶に入れて運びます。とにかく大きな釜なので米を桶に移す作業も重労働です。桶に移した酒米は、急いで蔵の二階に運び上げられます。桶に移す、二階へ運ぶ、という作業を何度も何度も繰り返します。
そして二階に運び上げられた酒米は、広げられて冷まされます。全体に均一な温度になるように手作業で丁寧に丁寧に扱います。ここでの温度管理が、この後の酒母づくりにも影響するので、慎重に、でも手早く。そう、酒造りにおいて温度管理はとても重要なんですね。
蔵のいたる所に温度計があります。こういうところからも、温度管理への気の使いようを感じますね。
蒸米を麹と混ぜ合わせる作業です。ここでもやはり温度管理に神経を集中しています。写真右で温度計を注視しているのが杜氏の古澤裕さん。
写真は、暖気樽(だきだる)。中にお湯を入れて酒母等の温度調節に使います。湯たんぽみたいなものですね。温度を下げ対場合に、お湯じゃなくて氷水を入れて使うこともあるそうです。
樽も年期が入っていてかっこいい。
こうした酒造りが冬の間ずっと続けられています。松乃井酒造は手作業が多いので生産量も限られ、都市部ではなかなか流通しません。それが悩みだと古澤杜氏も話していました。確かにもっとたくさん作って多くの人に飲んでもらいたい気もする反面、昔ながらの酒造りを後世にも継いでいってほしいとも思ったりして、ちょっぴり複雑ですが、なにはともあれ、雪国のこだわりがつまった松乃井酒造のお酒、手作りの味わいをぜひご賞味ください。
最後に、快く取材に協力していただいた蔵人のみなさん、ありがとうございました。