Chill Out おいしいお米と、偉人の話

作成: 日時: 2021年7月2日
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旅先でその地域の歴史を知ると、なんだかいい旅をしている気分になる。
「大地の芸術祭」※の里として知られる越後妻有。大きな窓枠のようなフレームと、揺れるカーテンが特徴的な「たくさんの失われた窓のために」は、人気作品のひとつ。作品を通してみえる里山の風景も魅力的だ。鑑賞のための階段をのぼると、作品の先に、河岸段丘と呼ばれる高低差のある地形、清流・清津川と田園地帯が広がる。美しい米どころの風景だ。

 

この作品のある桔梗原集落にはこんな歴史が残っている。
「江戸天明の昔、村山五郎兵衛という庄屋が、苦しい年貢を納める村人のために、ススキ野原を水田にしようと立ち上がりました。五郎兵衛は、村人の協力を得ながら野原を耕し、今の価値でおよそ1億2千万という私財を投げうって、約9キロにも及ぶ用水路を築き上げました。おかげで、8カ村の日照りの害はなくなり、約150ヘクタール※の水田ができました。集落にある田開稲荷神社には、その功績を記した石碑も残っており、この地を日本有数の米どころへと導いた多くの人々の努力が讃えられています。」

 

日本有数の米どころだが、昔からその土地に恵まれていたわけではない事を知ると、一帯に広がるなにげない田園風景は、先人たちが夢みた景色ということに気づく。
今夜は魚沼産コシヒカリをお腹いっぱいたべよう。この話を思い出しながら。

 

 

曾根 栞(雪国観光圏ブランドワーキンググループ)
参考資料 漫画中里物語
※ 越後妻有(新潟県十日町市・津南町)を舞台に開催される、世界最大級の国際芸術祭。
※ 150ヘクタールはおよそ東京ディズニーランド3つ分