冬の雪国<フォトレポート>
[十日町市で行われたワークショップのレポートです。]
4/16に雪国デザイン研究会が主催して「雪国らしさ<冬>の研究」という写真ワークショップを行いました。参加者が持ち寄った写真の中から、雪への備えや除雪仕事など雪国ならではの冬の日常をピックアップして紹介します。
屋根の雪を降ろすのは冬の大事な仕事です。この作業、雪おろしというのが普通でしょうが、雪国観光圏エリアでは「雪掘り」といいます。雪がたくさん降るものだから屋根より高く積もり、降ろすのではなくまるで掘るようになるので「雪掘り」というらしいです。現代は道路の除雪がしっかりされるので、さすがに積雪が屋根より高くなるなんてことはありませんが。
最近は屋根に積もった雪が自然に落下するようになっている落雪式屋根や、雪の重さに耐えられる耐雪式住宅も普及しているので、雪掘りをしない住宅も多くなってきています。落雪式屋根は落下した雪が庭にどんどん積もっていくので、基礎部分を一階程度の高さまで上げた高床式の構造になっているのが特徴的です。
雪がたくさん降った日は一晩で車が埋まることも珍しくありません。こうなると駐車場から車を出すだけでも一苦労です。
道路脇の「スリップ注意」の標識ももう少しで雪に埋まりそうになっていますね。
大雪が降った日は、夜があけきらぬ早朝から除雪車が大活躍です。雪を高々と吹き飛ばしながら道路をきれいに除雪していく姿はとても勇ましい。写真は広い場所なので雪をそのまま飛ばしていますが、市街地の住宅が接近した道路ではそうした場所がありませんから、雪を受けるダンプとセットで行動します。除雪車の後ろをダンプが何台も待機して次から次へと雪を運んでいく風景がよく見られます。
除雪は人に任せてばかりはいられないので、自分のところは自分で引き受けます。おばあちゃんだってしっかり現役です。
UFO?……ではなく電線に積もった雪ですね。この地域独特の湿った雪のせいでこんなところにも雪が積もります。
冬の風物詩といえばするめ、……ではなくて松焼きです。松焼きにはするめがつきもの。お参りあとにお神酒と一緒にいただくのも楽しみのひとつ。
十日町市のチンコロ市も冬の風物ですね。
≪“チンコロ”とは?≫ しんこ(米の粉)を原料にして作った細工物。干支にちなんだものが多く作られてきました。大きさは3㎝位で、すべて手作りのため一つ一つの顔や表情が異なります。福を招く縁起物として飾られたり、囲炉裏で焼いて食べられていました。(現在は飾り物として作られています) 十日町市観光協会HPより
浦佐毘沙門堂の「裸押合大祭」。毎年3月3日に行われます。地元の若者は29歳までがっつりと祭りの運営を手伝うことになっているので、知らず知らず祭りの設えやしきたりに詳しくなるんだそう。1400年とも言われる歴史ある祭りはこうして受け継がれていくんですね。
裸押合大祭のような伝統的な祭りだけでなく、雪国では各地で雪まつりがほぼ毎週のように行われます。いっぱいありすぎて全部は紹介しきれませんが、雪は光との相性がいいですね。
写真は雪国の信号機。ご覧の通り縦型です。雪が積もりにくいように縦になっているのですが、……積もってますね。(しかも大事な赤信号が見えていない…)
ここで紹介した写真は、4/16に行われた雪国デザイン研究会の「雪国らしさ<冬>の研究」ワークショップのものです。まだまだ他にも紹介したい風物があるんですが、長くなってしまうのでこのあたりにしておきます。
雪国デザイン研究会では「雪国らしさ<春>の研究」も行う予定です(6月末〜7月頭)。このワークショップは、参加者が写真を持ち寄り、雪国らしさについていっしょに考えます。写真ワークショップですが、写真なし&ワークショップだけの参加もOK。デザインやものづくりに限らず、地域づくりや情報発信に携わる等、幅広い方々のご参加をお待ちしています。
企画運営:雪国デザイン研究会
お問合せ:雪国デザイン研究会事務局(滝沢印刷内 担当:滝沢)
TEL 025-757-2191 / FAX 025-757-1591 / MAIL takisige@pastel.ocn.ne.jp
▼雪国デザイン研究会とは
世界でも珍しい“人が住む豪雪地”である当地には、独特の風土に育まれた知恵や事物がいまもなお残されています。しかしその価値を充分に伝えきれているとはいえません。雪国デザイン研究会は、地域住民・有識者・まちづくりに携わる人や団体・企業・NPOの方々と、デザインやワークショップを通して協働しながら、雪国ならではの価値を再発見し、地域の課題解決をはかる雪国初のデザインのシンクタンクです。
雪国デザイン研究会概要書
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