【原点に還る】雪国文化総論
雪で覆われたこの世界は、同じように縄文人を包みこんでいたのかもしれない。目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませ1万年前に思いを馳せてみる。脈々と受け継がれてきた文化の中にたくさんの知恵が隠されている。その知恵をすこしずつ紐解いていくことで現代社会を見直す足がかりが見つかるかもしれない。
北緯37度の別世界
雪国観光圏とサンフランシスコは同じ北緯37度に位置している。
サンフランシスコは年中温暖で四季がない気候をしているのに対して、雪国観光圏はご覧の通りの豪雪、そしてはっきり分かれる四季がある。赤道か同じ距離とは思えないまるで別世界だ。
この地は、南からの暖流の蒸気が西からの大陸風に運ばれる場所。それが冬は冷やされすべて雪となる。
そのため、ほかの世界の都市と違う、この特異な世界が生まれた。
1万年以上続いた文化
多くの文明は創造と繁栄、そしてその後消滅という歴史をたどる。興隆を誇った世界四大文明も一番長い黄河文明でさえ約3、300年で衰退してしまった。一方、縄文時代は1万年以上もの間、自然との共生を果たし、絶えることなく続いてきた稀有な時代。自然と対話を繰り返し日本人の精神文化を育んできた。それは世界の言語の中でも日本ほど自然に関するオノマトペ(*)がある言語はないことからも伺える。
今、国際社会では環境破壊・汚染が問題視され、SDGs(国連で採択された持続可能な開発目標)が注目されている。縄文時代の生き方は、環境と人間の持続的共生という点で理想の文化だったのかもしれない。
*オノマトペ(仏:onomatopee)とは、擬声語(擬音語と擬態語の総称)を意味するフランス語。例えば水の擬音語がちょろちょろ、ざぶんざぶん…、雪は英語では「SNOW」だけだが、日本語は「粉雪」「綿雪」「細雪」など。