雪国へいこう【01狩猟編|阿部達也さん】

作成: 日時: 2018年12月6日
やりたい 知りたい 行きたい

スキーやスノボで「雪国」に来る人の多くは、スキー場や駅での記憶しかないのではないだろうか?なんと、もったいない!スキー板を外し、ちょっと町に出るだけで違う世界が広がる。雪国の風土、暮らし、そして文化。雪のない都会では想像もつかない様な異文化の世界が広がる。そんな体験がしたくて、雪国に暮らす人たちを訪ねました。

雪国へいこう【01狩猟編|阿部達也さん】 この記事
雪国へいこう【02織物編|酒井武さん】 こちらへ
雪国へいこう【03どぶろく編|笛田文芳さん】 こちらへ
雪国へいこう【04わら細工編|涌井千春さん】 こちらへ
雪国へいこう【05温泉タクシー編|桑原修さん】 こちらへ
雪国へいこう【06酒蔵編|風間勇人さん】 こちらへ
雪国へいこう【07祭り編|小野塚賢さん】 こちらへ

 

 

阿部達也さん

Photo:山口裕朗

「狩猟を始めたのは、食料集めや外遊びが上手な人へのあこがれからです」と語る阿部達也さんは猟師歴16年。谷川連峰が連なるみなかみ町は山深く狩猟の対象になる動物たちも多い。「山鳥、うさぎなどもいますが、私が狙うのは熊、鹿、イノシシなど大物です」。初めは地元の熊撃ち4代目の師匠に習ったそう。「最初は散弾銃で。散弾銃は扱いやすいのですが、より精度が高く、射程も長いライフルを使いたくて…」取扱いの難しいライフルは散弾銃を10年経験した後、試験を受けてやっと所持が認められるとのこと。今では阿部さんの愛用はもっぱらライフルだ。

深い山の中でどうやって獲物を探すのだろう。「最初はなかなか獲物を見つけるのさえ苦労しました。でも、雪が積もると動物が浮かび上がって見えるのです」。雪が降る前は木や葉に隠れて見えなかった動物たちも、雪が積もると格段に見つけやすいとのこと。雪の上に残る動物たちの足跡や糞も貴重な手がかりとなる。

阿部さんは猟師でもあるがまた温泉旅館「尚文」の料理長でもある。地元産素材にこだわる阿部さんが山菜、きのこ、そして野生の動物にたどり着くには当然の流れだったろう。「仕止めた後は鹿など完全草食の動物は腐敗を防ぐため、内蔵を早めに取り出します。また、開いた腹に雪を詰めてその冷気で体温を下げるためでもあります。雪があると仕留めた獲物を滑らせて運ぶことができ、肉を傷めず運びだすことができます」と雪の効用は多い。おいしい肉達は脂ののった肉はしゃぶしゃぶや焼き肉。部位によってはサラミ、ハム、ソーセージなど加工して長期保存・熟成させて提供するという。

「動物は強い。こんなところに行く、など人が想像もつかないような場所に行く」と語る阿部さんのまなざしは優しい。

 

蛍雪の宿「尚文」

奥利根湯けむり街道沿いの山里にある、11室の小さな宿。しかしその食事は、奥利根の山や利根川で採れる食材、そして近隣の田畑で育まれた旬の作物をふんだんに使う「山人(やまびと)料理」。郷土料理の伝統を踏まえつつ枠にとらわれない料理は、料理長兼猟師「阿部達也」を中心に素材そのものが持つ力を生かすことを基本にしている。

群馬県利根郡みなかみ町綱子277
TEL.0278-72-2466

 

 

Tour plan

和かんじきで行く冬の猟師文化体験

猟師、阿部達也案内のもと、和かんじきを履いて、冬の野山を散策して、雪国で培った猟師文化を体験します。昼食は地域の素材を活かした猟師手作りのおにぎりとあったかいお汁で体も心も温まります。

●日程/2019年1月10日(水)・2月6日(水)・3月6日(水)
●料金/4,000円(予定)
●時間/180分程度
●定員/5〜15人
●最小催行人数/2人(予定)
●予約先/みなかみ町観光協会
●TEL/0278-62-0401
●行程/フィールド集合→ガイドからの文化紹介→かんじき装着→散策→食事→散策→帰着