雪室野菜はなぜ甘みが増しておいしいんだろう?その理由を新潟県高冷地農業技術センターで聞きました。
冬の間、雪の中で貯蔵された野菜は甘みが増しておいしい。雪下ニンジンが代表的ですが、そのおいしさの秘密はなんだろう?一般的には、雪の中で冷やされると糖度が増すと言われているけど、ホントだろうか?
ちょっと知りたくなったので、専門家にお話を伺いました。果たして雪室野菜のおいしさの秘密とは?
今回お話を伺いにお邪魔したのは、津南町にある新潟県の高冷地農業技術センター。高冷地での野菜などの生産技術や、雪などを活用した農業技術の研究をしているところです。
今回伺ったのは2点。ひとつは、「雪室野菜はなぜおいしいのか?」。もうひとつは、「雪室野菜は冷蔵庫では再現できないのか?」ということ。
雪室野菜は冷蔵庫でできるのか?
ひとつめの質問は少々長くなるので、とのことで、最初に冷蔵庫で再現できるのかどうかについてお答えいただきました。
結論から言うと、理論的には再現可能だが、現実的には難しいとのこと。雪室野菜と同じ環境にするには、±0.2〜0.3度の幅で温度調節しなければいけない。それを冷蔵庫で再現するのは無理か、できても非常に高価でコストがつりあわないだろうと。
実際、雪の中の温度は−0.1〜0.3度でほぼ固定されているそうです。そう考えると自然の恵みはすごいですね。
あと、雪の中は湿度が95%〜100%に保たれており、これは野菜の鮮度が落ちない理由なんだそうです。なるほどねえ。
雪室野菜はなぜおいしい?
さて、もうひとつの質問、「雪室野菜はなぜおいしいのか?」についてです。一般的には、雪の中で冷やされると糖度が増しておいしくなると言われています。
でも、どうやらそうではないらしいのです。
高冷地農業技術センターでは、いくつかの野菜で秋の収穫時と雪の中で貯蔵したデータをとったけれども、すべての野菜で糖度が増すという明らかなデータは得られなかったそう。糖度はそのまま保たれるけれども、増すわけではない。
変ですよね。雪下ニンジンは、まるで果物のように甘いのに。なんででしょう?
それは、甘み以外の雑味に秘密がありました。ニンジンに関していうと、独特の青臭さや香りがありますが、雪の中で貯蔵することで、こうした雑味が少なくなる。雑味が少なくなることで、ニンジン本来の甘みが引き立つ。これが、雪下ニンジンのスッキリとした甘さ、おいしさの秘密だったんですね。なるほどなあ。勉強になりました。
雪下ニンジンのはじまりについても聞いてみたところ、これは定説通り津南町が発祥ということで間違いないそうです。秋に収穫しそびれたニンジンを冬があけるころに雪の下から掘り返してみたら甘かったというのも、どうやらその通りのようで。今から約35年前のお話だそうです。
本当においしい雪室野菜を食べるなら産地で。
最後に、雪の中で貯蔵された野菜は、一旦雪から取り出すと鮮度が落ちるのが早いので、本当においしい雪室野菜を食べるなら産地で食べるのがいちばん、だそうですよ。春先に雪国にお越しの際はぜひ雪室野菜をご賞味ください。