囲炉裏を囲んで地元民と交流できる!「湯守処 地炉」ツアー体験レポート
日本三大薬湯の地として知られる松之山温泉。その温泉街に「湯守処 地炉」という、近年移築した古民家があるのを知っていますか?そこではなんと、囲炉裏を囲み、地元食頂きながら、地元民の話を聞く…現代では昔話でしか聞けないような、そんな体験ができちゃうツアーがあるらしいんです。いったいどんなツアーなんでしょう…気になる!ということで、ちょっとその様子を覗いてきました。
四方を山に囲まれた松之山温泉街。日暮れ時、温泉街を覆う黒々とした山々を眺めながら歩いていると、昔の人はよくここに街を作ったものだなと、ちょっと感心してしまいます。
その温泉街を一番奥まで行ったところにあるのが「湯守処 地炉」。
入り口を潜るとすぐに板間で、そこには移築したばかりの綺麗な囲炉裏。既に火の入った囲炉裏を囲んで、地元のおじさんが何やら楽しげにお客さんに語りかけていました。
「こういう生活したことある?囲炉裏の生活って。おらあもう中学終わるまでこういう生活。生活ったって、普通だったからなあ、その時は。別になんとも思わなかったけどさ。
今はほら、炭だけども。昔はさあ、俺のちっちゃいときは、わっつぁばって分かるかな?薪のおっきいの。それを一本、くべてくの。そうすっとねえ、4時間、火が消えないの。で、夜寝るときはちょっと灰をよせてさ、朝起きたらまた、その灰をこう広げる。ほんで、ちっちゃい違う薪をくれると、またぼおっと燃える。で、囲炉裏の上には、すっぺとか、みのとか、そういうのをね、全部ほしたん。要するに一晩で、それをみいんな乾かしちゃうんだよ。」
雪国で育まれきたであろう知恵を、自身の体験をもとに話す地元のおじさん。ざっくばらんで豪快な話しっぷりに、なぜか親しみが湧いてきます。
「でさ、この囲炉裏の幅のことなんだけど、昔はね、この板の幅が広いのが本家だったの。うん。分家になっと小さい。細いんだよ。だから、昔からある家行ってみると、囲炉裏ある家はわかるよ、あ、この家、本家だ、分家だってすぐわかる。うん。分家は本家より大きくしちゃいけねえって。」
興味深そうに聞き入るツアーのお客さん。時々室内に響く火のはぜる音が、より一層心を落ち着かせてくれます。
しばらくするとおじさんが、火にかけていた鍋に手を伸ばしました。
「お、ほうら。うまそうだぞ。これはね、けんちん汁って言って、きのことか入れて、その家庭でも入るのはいろいろだけどね。まあ、昔なんかさあ、豚肉とかそういうのなかったんだから。おかげでね、うちのおやじは、鉄砲撃ちしったんさ。猟師だったん。」
鍋のフタをとると、美味しそうなにおいがふわっと室内に広がります。鍋の中には地元の山で採れた天然のキノコがたくさん。けんちん汁を盛りながら、お話も矢継ぎ早にどんどん出てきます。
「ほら、今みてえに期限なんてねえから、一年中撃ってたん。でも人がみんなもらいくるわけよ。だからね、10ぴきくらいウサギ獲って来ても、じきなくなっちゃう。
俺の子供っころには、この辺でも、ウサギとか、カモとか、あとヤマドリとか、その程度の動物しかいなかったの。それが最近はね、イノシシもいれば、クマもいれば、なんでもいる。一通りいるようになっちった。だからあんまりね、山奥には入らんねえんだわ。うん。ヤマブドウ採りにいってもさ、下から2メーターくらいんとこんのは、俺も採れるし、クマも採れるから、どっちが早いかなんだよ。そういうふうになってきたからさ。」
雪国の文化だけでなく、歴史や自然のことまで感じられるお話に、ぐいぐいと引き込まれます。おじさんの身振り手振りを交えた語り口のおかげか、実際に見たわけではないのに、それら光景が目に浮かんでくるようです。
おじさん、けんちん汁を盛ると今度は、燗した地酒を手にとってお客さんにお酌。これは寒い季節にはたまらないですね。
「まあ、一杯さ、注ぎながらさ。こうやってさ、昔は飲んだんだよ。冬はね、飲むんだ。うん。」
まだまだおじさんのお話は止まりません。
「ここはね、雪が深いもんで、普通もう、3メーター4メーター。そんで、われわれ子供ん頃はもう、雪が降れば、車通らないのよ、それで終わりなの、その年は。
そんで、となり町からね、にしんとか、しゃけとか、ほっけとかさ、そういうのを持ってきたんだ。そんで、地元の店へ卸す。そしたらそこのおやじさんが、この集落一件ずつまわって、なになに来たよ、いらねえかい、いらねえかい、って売りにあるくん。保存のきくものしかなかったからね。しょっぱいのばっかだったん。刺身なんかねえからね。
そんな時代があったんだわ。」
楽しげな笑い声とともに、夜は更けていきました…。
山里の恵みを囲炉裏で食す!晩秋の天然キノコ
そんな、まるで昔話のような体験が、実際にできちゃうツアーがあるんです♪
山の達人のガイドで晩秋の森に分け入り、プレミアムな天然キノコを探します。古民家(地炉)にて採りたての天然ナメコや天然ヒラタケ等を召し上がって頂きます。その他温泉調理の玉子やサツマイモなど、高温の温泉ならでは名物料理もご用意します。ご飯はもちろん新米の棚田こしひかりをぬか釜にて炊き立てでホックホク。
雪国でしか味わえない、美味しくて楽しいひとときはいかがですか?※要予約
●日程/11月12日㈯
●料金/大人5,400円 子供3,240円
●時間/10:30〜13:30
●定員/10名
●最少催行人数/4名
●主催/松之山温泉合同会社 まんま
●TEL/025-595-8588