受け継がれる。進化する。雪国織物。
雪国には、多くの種類の織物が存在している。「越後上布」「越後縮」「塩沢紬」「十日町明石ちぢみ」「本塩沢」…これらはそれぞれ独立した製法・技術ではなく、親子のように先にあった織物の技術を受け継ぎ、生まれてきた歴史がある。
遡れば、6,000年以上前に存在した「アンギン」にたどり着く。このアンギンは織物ではなく編物であったのだが、ここから今日の織物達が生まれていく事になるのである。
こちらの体系図、編集者も含め織物知識の薄い一般の方に多くの織物の種類を分かりやすくする為にまとめ始めたのだが、調べていくうちに
「6,000年も前に縄文土器の底にアンギンの痕跡があった」
「雪国で作られた越後上布は非常に高級品で、朝廷へ献上されたり、幕府の公服の材料として必需品だった」
「越後上布は東大寺の正倉院に今でも宝物として収められている」
「縮の技術は新幹線も無い江戸時代に兵庫県(播州明石)から伝わって来た」
「友禅染めの友禅の元は、宮崎友禅斎という絵師の名前だった」
「京都に対抗して、柏崎町の縮問屋が十日町の機業家に話を持ちかけ十日町明石ちぢみを作った」
「越後上布はユネスコの人類の無形文化遺産の代表的な一覧表にも登録されている」
「アンギンは一度技術が途絶えた後、再度復活した」
などなど、分かりやすく分類するだけではもったいないと思うような面白く、知らなかったエピソードがSCF本誌で書ききれない程沢山出てきた。
このような織物の歴史、多くの人の苦労と努力、そして沢山の物語を知った上で、着物や小物製品を見ると、今までとは少し違う目線で見れて楽しいものである。