雪国の山菜は旬が長い!雪のおかげで延びる収穫時期
忙しい毎日で、あっという間に過ぎる春。旬の山菜で春を感じることができなかった人もいるかもしれません。しかし雪国は別。雪のおかげで山菜の収穫時期が長いんです。
3月、暦の上では春ですが、雪国はまだ真っ白い世界が広がっています。雪の下ではいろいろな山菜が、陽光を浴びられる日を心待ちにしています。
陽光は、日毎に暖かさを増し、雪の消えた日溜りや小川の縁では、萌黄色のフキノトウが膨らみ始めます。
4月になると雪解けは急速に進み、日一日と地面が広がっていきます。日当たりの良い斜面ではクサソテツ(コゴミ)、オオバギボウシ(ウルイ)、ウドなどの山菜が待っていましたとばかりに顔をのぞかせます。下旬には春本番となり、山菜採りシーズンの到来です。
雪解けの早い人里から植物の芽出しが始まるため、山菜が採れる期間は積雪の多い年ほど長く、小雪の年ほど短くなります。
雪の下で過ごした山菜は、香りが強く、アクが少なく、風味がよいことが特徴です。
6月、緑が濃さを増す中、涼を求めて山奥に分け入ると、沢や窪地にまだたくさんの雪が残っていることがあります。残雪の消え際にフキノトウの芽出しを見つけたとき、慌ただしく過ぎていった春にもう一度出合うことができます。
雪国の山菜の収穫時期
フキ(フキノトウ)
雪解けとともに姿を現す山菜。道の脇などの土の上に生える。生い茂った草地は苦手。時期:4月〜6月
オオバギボウシ(ウルイ)
山地の草原や林縁に見られる。時期:4月下旬〜6月
クサソテツ(コゴミ)
水はけが良く湿気のあるところが好き。一カ所で沢山見つかる!時期:4月〜5月
ウド
斜傾地に生える高級山菜。時期:4月〜6月
ワラビ
日当りの良い所を好み、平地や草原に生える。時期:4月〜7月
タラノキ(タラノメ)
桜の咲く時期と同じ頃が収穫時期。雪国は遅い。時期:4月〜5月
寄稿・監修:中沢 英正
苗場山麓ジオパーク・専門員(農と縄文の体験実習館なじょもん内)。雪国ならではの山菜採りの楽しみ方を知っているベテラン。過ぎさった春に出会えるのがとても嬉しいという。
真白き世界に隠された知恵と出会う”雪旅”
雪国ガストロノミーツーリズム
いろいろな場所を食べ歩くのもいいけれど、ときには目の前の一皿に向き合うのもいい。旅先でおいしいものに出会ったら、食材やそれを育てた人に思いを馳せてみる。風土や文化とつながる食のストーリーが、旅をもっと豊かにすることでしょう。